パジャマペディア
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サテンパジャマの特徴とおすすめ
- この記事の監修者岩本悠資
- 所属:岩本繊維株式会社 代表取締役
- 出身:1983年10月 京都生まれ
経歴 | 同志社大学経済学部卒業。 広告代理店入社、営業部配属。 岩本繊維入社後、日本全国の寝具専門店、家具店などの小売店への卸営業活動を経て、自社ECサイト「Living Mahoroba楽天店」「つくるパジャマ」オープン。睡眠健康指導士のアプローチで快眠に関する知識や寝装品、 パジャマ選びなどの情報をブログで発信。 |
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資格 |
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趣味 | 寝ること、育児、音楽鑑賞、お酒 |
美しい光沢で高級感があり、肌触りもつるっと気持ちいいサテンパジャマ。今回はそんなサテン生地の特徴や種類等をご紹介!綿サテンとポリエステルサテンの比較結果も合わせてご覧ください!
1.サテンとは?
「サテン」とは織物の種類のこと
学生時代、家庭科の授業で「平織り・綾織り・朱子織り」と習ったことがある方も多いと思いますが、そのうちの「朱子織り」で織られた「朱子織物」を総称して「サテン(生地)」と呼びます。言葉だけではなかなかイメージしにくいので、サテンとはどんな織り方がされているのか下記をご覧ください。
写真をご覧いただくと、サテン生地のものは他の「平織り」「綾織り」と違って経糸、緯糸のどちらか一方が多く表面に露出する(糸を浮かせる)ような織り方になっています。こうした織り方をすることで、サテン特有の光沢感のある生地になります。
2.サテンのいろいろ
素材でみる「サテン」
サテンは織り方の種類になりますので綿でできたサテン生地(綿朱子)もあれば、ポリエステルでできたものもございます。元々はシルクで織られたものを指して「サテン」と呼んでいたそうですが、現在では綿やシルクなどの天然繊維、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維で織られたものもサテンとされています。このような素材の違いはその呼び方にも表れています。「サティーン」と「サテン」という2つの呼び方を聞いたことはありませんか?
この2つの呼び方の違いは厳密には、下記のように区別されているそうです。
・絹製の朱子織物ならサテン(satin)
・綿製ならサティーン(sateen)
また、素材の違い以外にもサテンには、経糸や緯糸の出し方を変えたものもあります。
糸の浮かせる本数を多くすればするほど、生地表面の光沢は強くなっていきます。
3.サテンの特徴
織り方でみるサテンの特徴
サテンにいろんな種類があることがわかりましたが、次に気になるのはサテンにはどんな特徴があるのかです。
・光沢感
何と言っても一番の特徴は光沢感ではないでしょうか。織り方によって光沢の強い弱い光沢感はドレスやネクタイなどのフォーマルな衣類に適しており、上品な光沢は衣類から寝具類まで幅広く取り入れられています。生活の中のちょっとしたアクセントにサテン生地のものを選ぶとどこかホテルライクな非日常感を感じられます。
・肌沿いの良さ
糸を浮かせて織るため、出来上がった生地は糸の交差する箇所が少なくドレープ性の高い生地になります。この経糸と緯糸の交差するまでの距離が遠くなればなるほどドレープが出て、より光沢が強くなります。
・耐久性が低い
糸の遊びが光沢感やしなやかさを生む要素といえますが、糸の交差する点が少ないということは、同時に糸の浮いている部分も多いので引っ掛かりや摩擦に弱くなってしまいます。特にシルクサテンの取り扱い時には、爪などを引っかけて傷ができてしまうことも多いので注意しなければいけません。
・吸水性、吸湿性が低い
織り方の構造上、吸水性や吸湿性が低くなってしまいますが、綿100%のコットンサテンなど、素材自体が吸水性、吸湿性の高いものを選ぶのがおすすめです。 その他の素材でできたサテン生地を選ばれる際も、織り方による特性と素材自体の特性のそれぞれに注目して選ばれると良いかもしれません。
4.サテンパジャマは実際どうなの?
綿サテンとポリエステルサテンを徹底比較!
サテンパジャマはつるんとしたなめらかな肌触りが心地よく、上品な雰囲気が味わえるのでパジャマとして選ばれる方も多いかと思います。
一方で、どんな素材のサテンパジャマを選んだらいいのか悩んでいる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回、綿サテンとポリエステルサテンの2つのパジャマを比較していきます。パジャマ選びのご参考までにご覧ください!
5.綿サテンの方が蒸れない
綿は吸水性・吸湿性に優れています
人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかきます。綿は吸水性・吸湿性が良いため、その汗をきちんと吸い、また水蒸気を吸ってくれます。反対にポリエステルなどの化学繊維は吸湿性がないので、湿気を逃がさず、ムレを感じてしまい、夜中に目をさますなど快眠を妨げる可能性があります。
またポリエステルは吸水性もほぼないので、生地に水をかけると一見吸っているかのように見えますが、これは繊維が水分を吸収しているのではなく、繊維の間を水が通過しているだけです。
ポリエステルと綿の吸水実験
同じ大きさのポリエステル100%の生地と綿100%の生地を、同じタイミングで水に落としました。吸水性のいい綿は、すぐに底に沈みましたが、ポリエステルはずっと水面に浮いたままでした。
考察:就寝中は、汗を拭くこともできません。ポリエステルのパジャマでは、汗を吸わないので、汗で生地がはりついたり、蒸れたりして、夜中に起きているかもしれません。吸水性のいい綿サテンパジャマはしっかり汗を吸ってくれます。洗濯してもしっかり繊維の中に水が入り込み汚れをおとします。
6.綿サテンの方が清潔
綿はお洗濯で汚れが落ちやすい親水性
寝ている間に皮脂汚れや細菌が多く付着するパジャマ。きちんと汚れを落とし、清潔にしておくことが大切です。綿は親水性で水を好み、お洗濯時に水とくっつこうとするため、汚れがとれやすいです。反対にポリエステルは親油性で油を好み、皮脂などの油とくっつこうとするため、汚れがとれづらく、汚れが残ってしまうと、そこから雑菌などが繁殖し、臭いや肌トラブルの原因になる可能性があります。
ポリエステル生地の商品には、「防臭加工」「抗菌加工」などの機能がついているものをよくみかけますが、裏返して言えばこういった加工をしないと、ニオイなどが目立つ可能性が高いからです。
7.綿サテンの方が肌にやさしい
綿は静電気が発生しにくい
冬場に空気が乾燥してくると、パチっと感じる静電気。当然、お肌にはよくありません。人が静電気を感じるのは2000V以上と言われ、綿は帯電数値1000V以下で静電気を感じづらく、肌にやさしいと言えます。それに対し、ポリエステルは約3500V。乾燥していると非常に静電気を感じやすいのはそのためです。
8.ポリエステルサテンの方がシワになりにくく、縮みにくい
ポリエステルは吸水性が低く、型崩れにしにくい
ポリエステルの繊維自体は水を吸いにくい性質をもち、一見、水を吸っているようにみえますが、実は繊維と繊維の間を水が通り抜けていると言う方が正確です。洗濯して水を吸っても繊維にあまり変化がないため、型崩れしにくく、逆に綿は吸水性が良いため、洗濯すると水をよく吸いシワなどになりやすいです。また、ポリエステルなどの化学繊維の方が、洗濯後の縮みも少ないため、リネンサプライと呼ばれる業務洗濯をする旅館、ホテルなどの宿泊施設に使われるパジャマには向いています。また、ポリエステルは速乾性が高いというのは実は吸水性が低いのが理由です。
09.ポリエステルサテンの方が比較的軽い
繊維の比重がポリエステルの方が低い
重さの目安となる比重(物質の密度、単位体積あたり質量)は綿1.54、ポリエステル1.38と、ポリエステル製品の方が比較的軽い場合が多いです。ただ、糸の太さや生地に使われる本数、密度によって一概には言えないので、パジャマの製品重量などが記載されている場合はそちらを参考にすると良いでしょう。
10.ポリエステルサテンの方が比較的安価
天然素材はコストが高くつきやすい
一定量を効率よく生産できる化学繊維に比べ、綿やシルクなどの天然素材は、その年の作付、収穫量、相場などによって原料価格が変動しやすく、生産工程なども手間暇かかるため、一般的にコストが高くつくため、ポリエステルサテンより、綿サテンやシルクサテンの方が市場価格は高価なパジャマが多いです。とくに綿サテンでもエジプト綿GIZAやスーピマなどのブランドコットンになるとなおさらです。
【出展】日経 2021/10/1 ”「綿」高値、綿花10年・綿糸36年ぶり景気復調で需要増”
7.まとめ
毎日使う寝具としてのサテンパジャマは綿やシルクの天然素材を選びましょう
ポリエステルサテンなどは宿泊施設などでは向いていますが、おうちで毎日使う寝具としては向いていません。快眠のためには綿サテン、シルクサテンなどの天然素材のパジャマを選びましょう。